相続・遺書のこと

司法書士はあなたの身近にあるいろいろな困りごとを解決する法律の専門家です。手続きの流れや必要な書類の作成、提出の代理、費用に関することなど、お近くの司法書士へお気軽にご相談ください。

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相続が発生した場合に、誰が相続人になるのかを教えてください。

 ある人が亡くなった場合に、その人の財産上の地位を承継する人のことを相続人(そうぞくにん)、相続される側の人(=亡くなった人)を被相続人(ひそうぞくにん)といいます。相続人は、相続開始の時(被相続人の死亡の時)から、被相続人の財産に属した一切の権利義務(財産および債務)を承継します。相続人の範囲は、民法で次のとおり定められています。

○相続人の範囲
 死亡した人の配偶者は常に相続人となります。ただし、内縁の配偶者(事実上夫婦として暮らしているが、戸籍上の夫婦ではない方)は相続人とはなりません。
 配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。

・第1順位:死亡した人の子供
 その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(ちょっけいひぞく=子供や孫など)が相続人となります。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といい、子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。

・第2順位:死亡した人の直系尊属(ちょっけいそんぞく=父母や祖父母など)
 第2順位の人は、第1順位の人が誰もいないときに相続人になります。父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方が優先します。

・第3順位:死亡した人の兄弟姉妹
 第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないときに相続人になります。その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。

 なお、相続を放棄した人は、初めから相続人でなかったものとみなされます。

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2

法定相続分とは何ですか?

 民法では、相続人の範囲の他に、法定相続分についても以下のように定めています。

○法定相続分
 ①配偶者と子供が相続人である場合
  配偶者1/2 子供1/2

 ②配偶者と直系尊属が相続人である場合
  配偶者2/3 直系尊属1/3

 ③配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
  配偶者3/4 兄弟姉妹1/4

 子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます(ただし、直系尊属の場合、生存する最近親のみの相続となります)。また、代襲相続人が複数いる場合には、先に死亡した子(被代襲者)の法定相続分を代襲相続人の人数で割ります。

 なお、民法に定める法定相続分は、被相続人に遺言がなく、かつ相続人の間で遺産の分配をめぐる話し合い(遺産分割協議)で合意ができなかったときの遺産の取り分について定めたものですので、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。したがって、被相続人に遺言があれば、遺言による相続分の指定が優先しますし、相続人全員が納得するのであれば、遺産分割協議で例えば長男がすべての遺産を相続するという決め方もできます。(ただし、債務については原則として法定相続分通りに相続されます。)

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3

夫が亡くなりました。夫には長男Aと二男Bがいましたが、長男Aは夫よりも先に亡くなっています。長男Aには子のCとDがいます。誰が相続人になるのか教えてください。

 まず、配偶者である妻が相続人となります。次に、第一順位として夫の長男Aと二男Bが相続人となりますが、長男Aが夫よりも先に亡くなっている場合、その子であるCとDが、長男のAの代わりに相続人となります(代襲相続)。したがって妻、二男B、長男Aの子であるCとDが相続人となります。

 なお、この場合の法定相続分ですが、相続人が配偶者と子供ですので、まず妻が1/2となります。そして、残り1/2を子供がその人数で均等に分けるため、本来なら長男Aが1/4、二男Bが1/4となるべきところ、長男Aが夫よりも先に死亡しているため、長男Aの相続分を、さらに代襲相続人である子CとDが均等に分けます。したがって、妻が1/2、二男が1/4、子CとDが各1/8となります。

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4

夫が亡くなりました。夫との間に子供はいません。夫の父母や祖父母はすでに他界しています。夫には弟Bがいましたが、夫よりも先に亡くなっています。Bには子のCとDがいるのですが、誰が相続人になるのか教えてください。

 まず、配偶者である妻が相続人となります。次に、第一順位の相続人(子供)が存在せず、第二順位の相続人(父母や祖父母)がすでに亡くなっていますので、第三順位として夫の弟Bが相続人となりますが、Bが夫よりも先に亡くなっている場合、その子であるCとDが、Bの代わりに相続人となります(代襲相続)。したがって妻、弟Bの子であるCとDが相続人となります。

 なお、この場合の法定相続分ですが、相続人が配偶者と兄弟姉妹の代襲相続人ですので、まず妻が3/4となります。そして、残り1/4を本来なら弟Bが相続すべきところ、Bが夫よりも先に死亡しているため、代襲相続人である子CとDが均等に相続します。したがって、妻が3/4、CとDが各1/8となります。

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5

夫が亡くなりました。夫との間に長男Aがいますが、夫は前妻との間に子Xがいます。誰が相続人になるのか教えてください。

 まず、配偶者である妻が相続人となります。次に、第一順位として婚姻中に産まれた子(嫡出子:ちゃくしゅつし)である長男Aおよび子Xが相続人となります。したがって妻、長男A、子Xが相続人となります。

 なお、この場合の法定相続分ですが、相続人が配偶者と子供ですので、まず妻が1/2となります。そして、残り1/2を子供がその人数で均等に分けるため、長男Aが1/4、子Xが1/4となります。つまり、AとXの間では相続の順位も法定相続分も同じということになります。

 もっとも、仮にXが、夫と婚姻していない女性との間に産まれた子である場合には、夫が「認知」してはじめて夫の相続人になります。したがって、夫が認知していない場合にはXには相続権がなく、法定相続分は妻が1/2、長男Aが1/2となります。

 また、夫が子Xを認知した場合には、子Xは夫の「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」となり、第一順位の相続人となります。なお、従来は、非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2とされていましたが、2013年の最高裁決定により、この民法の規定は無効とされ、その後の民法改正により削除されています。したがって、現在では、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同じとなっています。

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6

養子に入ったのですが、実父母の相続人にはなれないのでしょうか。

 養子に入っても実父母の相続人になります。つまり、養子は実父母と養父(養母)の両方の相続人になるのです。もっとも、実父母と養父(養母)の財産だけでなく、借金などの負債があれば当然その分も相続することになります。

 ただし、原則6歳未満の子だけが養子になれる特別養子縁組をした場合には、実親と子との間の法律上の親子関係がなくなりますので、この場合には養父(養母)の相続人とはなりますが、実父母の相続人となることはありません。

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7

相続人の中に未成年の子がいます。遺産分割協議を行いたいのですが、何か注意することはありますか。

 未成年の子は、原則として単独で法律行為をする能力が法律上認められていません。したがって、その子が成人になるまでは、通常は親権者(父母など)が法定代理人として、さまざまな法律行為を行うことになります。

 しかし、遺産分割協議についてはそうとはいえません。なぜならば、例えばその子の父親が亡くなった場合、配偶者(母親)と未成年の子が相続人となりますが、母親が未成年の子に代わって遺産分割協議をするとなると、母親の相続分を増やすと子の相続分が減ってしまうというように、お互いに利益が対立する(利益相反)関係になってしまうためです。

 そこで、このように、未成年者とその法定代理人とが遺産分割協議を行う場合には、その未成年者の権利を守るために、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらう必要があります。そして、母親はその特別代理人との間で、遺産分割協議をしなくてはならないということになります。

 なお、司法書士は、この特別代理人の選任申立書を作成する業務も行っておりますので、手続きがよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。

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8

兄が死亡しました。兄は独身でしたので、相続人は姉と弟の私ですが、姉は認知症になっています。遺産分割協議を行いたいのですが、何か注意することはありますか。

 認知症の程度にもよりますが、相続人のうちの一人が精神上の障害により判断能力が「常にまったくない」状態の場合には、そのままでは遺産分割協議ができません。しかし、遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるので、その方を除いて遺産分割協議を行っても無効となります。

 また、遺産分割は財産に関する重要な法律行為ですから、自分の行為が法的にどのような結果を生じさせるのかを理解できる能力(意思能力)が必要となります。したがって、相続人が意思能力を欠いている場合、たとえその方が遺産分割協議書に署名や押印をしていても、そのような遺産分割協議は無効となります。

 そのため、相続人に意思能力がない場合には、成年後見制度を利用して、家庭裁判所に成年後見人の選任申立を行い、選任された後見人がその相続人の代理人として、遺産分割協議を行うことになります。なお、後見制度のついての詳細は別のQ&Aにございますので、そちらをご参照ください。

 ただし、お姉さんにすでに成年後見人が選任されていて、それが弟のあなたである場合、あるいは新たにあなたが成年後見人に選任された場合には、お姉さんとあなたは共に相続人となり利益が対立する(利益相反)関係になってしまいます。そのため、このような場合には、家庭裁判所に申し立てをして、「特別代理人」を選任してもらい、その特別代理人との間で、遺産分割協議をしなくてはならないということになります。

 なお、司法書士は、成年後見人や特別代理人の選任申立書を作成する業務も行っておりますので、手続きがよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。

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9

夫が死亡しました。相続人は妻の私と長男A・二男Bですが、二男Bが5年前から行方不明です。夫名義の土地・建物があるのですが、どうすれば名義変更ができますか。

 被相続人に遺言がない場合には、相続人全員で誰がその不動産を相続するかの遺産分割協議を行い、協議で決定した内容に基づき相続登記をして、不動産の名義を変更することになります。しかし、相続人のうちの一人が行方不明でこの協議に参加できないような場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任の申し立てを行い、二男Bの代わりに不在者財産管理人に遺産分割協議に参加してもらうという方法があります。

 なお、家庭裁判所に選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を管理する権限はありますが、処分する権限はありません。そこで、不在者財産管理人は家庭裁判所に「権限外行為の許可審判」の申し立てをし、特別の許可を得て初めて遺産分割協議に参加することができるようになります。もちろん二男Bの消息が判明すれば、管理人は管理していた財産を二男Bに返還します。

 もし二男Bの生死が7年以上不明であれば、「失踪宣告(しっそうせんこく)の審判」を申し立てることで、7年の失踪期間の満了の時に「死亡したものとみなす」ことになります。こちらも家庭裁判所に申し立て、審判が確定すれば二男Bの相続人全員が遺産分割協議に参加することになります。

 司法書士は、この不在者財産管理人の選任申立書を作成する業務も行っておりますので、手続きがよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。

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私には相続人がいません。私が亡くなった場合、遺産はどうなるのですか?

 被相続人に相続人がいない場合(いるかどうか明らかでない場合も含む)、被相続人の債権者、受遺者(じゅいしゃ)、特別縁故者(とくべつえんこしゃ)などの利害関係人からの請求により、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。利害関係人からの請求がない場合は検察官が請求をすることもあります。

 相続財産管理人選任は2か月公告されます。この間に相続人が現れない場合は債権者・受遺者に対して債権申出の公告を行います。2か月以上の債権申出の期間内に相続人が現れない場合は相続人捜索の公告を行います。6か月以上の公告期間が経過したときに相続人の不存在が確定します。その後3か月以内に特別縁故者からの請求により、家庭裁判所は相続財産の全部又は一部を、特別縁故者に与えることができます。

 特別縁故者として認められるのは以下のものとされています。(代表例としては内縁の妻や事実上の養子)
 ①被相続人と生計を同じくしていたもの
 ②被相続人の療養看護に努めたもの
 ③その他被相続人と特別の縁故があったもの

 特別縁故者がいない場合や、特別縁故者へ相続財産の一部しか与えずに相続財産が残った場合、その財産は国へと帰属します。このように相続人や特別縁故者がいないケースでは財産が最終的に国の所有となってしまいますので、財産を譲りたい人がいるならば遺言書を作成しておくことをお勧めします。

 司法書士は、この相続財産管理人の選任申立書を作成する業務も行っておりますので、手続きがよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。

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母が亡くなりました。母親名義の家を相続したいのですが、どのような手続きが必要ですか。

 母親が遺言を作成しているかどうかによって、手続きが異なります。母親が法的に有効な遺言を作成していて、そのなかで土地や建物を誰が相続するかについての指定がある場合には、指定された相続人がその土地建物を相続します。その際、自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所で「検認」という手続きを済ませておく必要があります(公正証書遺言の場合には、検認は不要です)。そして、その遺言書と、関係する戸籍や住民票などの書類を揃えて、相続を原因とする所有権移転登記(相続登記)を行います。
 
 これに対して、母親が遺言を作成していない場合は、母親が所有していた土地建物は、いったん相続人全員が法定相続分に基づいて共有することになります。したがって、この状態のまま、戸籍や住民票などの書類を揃えて、相続登記を行うこともできます。この場合、必ずしも相続人全員が申請する必要はなく、相続人のうちの一人が単独で共有者全員分の申請を行うこともできます。

 もっとも、実際には、土地や建物を相続人全員で共有することはあまりありません。通常は、その土地建物や現金、預貯金などの遺産(相続財産)も含めて、誰が何を相続するかの話し合いを相続人全員で行います。これを「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」といいます。そして、協議がまとまったら、その結果を遺産分割協議書に記載し、相続人全員が署名や押印をして、預貯金の解約手続きなどに使用したりします。その際、土地建物については、その遺産分割協議書と、関係する戸籍や住民票、印鑑証明書などの書類を揃えて相続登記を行います。

 なお、司法書士は相続手続きや不動産登記申請のプロですので、相続登記でお困りの際には、ぜひお近くの司法書士までお問い合わせください。

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相続登記は、必ずしなければならないのでしょうか。

 相続登記をしなければならないという規定はありません。しかし最低でも相続人全員で遺産分割協議を行い、「遺産分割協議書」を作成しておいた方が賢明です。もし何もしないままでいると、次のようなことが起こりえます。

 被相続人Xが死亡し、X所有の土地建物について遺産分割協議をしないまま、さらに、その相続人である長男Aや長女Bが順番に死亡していくとします。そうすると、この土地建物の相続人は、その長男Aの配偶者と子ならびに長女Bの配偶者と子といった具合に、だんだんと相続人が大勢になっていきます。長男Aと長女Bが存命中に遺産分割協議書を作成していれば別ですが、そうでなければ、この大勢の人たちとの間で遺産分割協議書を作成しなくてはならなくなります。相続人が大勢になれば面識がないのはもちろんのこと、遠方に住んでいたり、成年被後見人(せいねんひこうけんにん)の人がいたり未成年者がいたり、遺産分割協議の内容に全面的に反対する人がいたりなど、遺産分割協議がスムーズに進む可能性が低くなります。

 また、この土地建物を売却しようとする場合、あらかじめ相続登記をしておかなければ、買主への所有権の移転登記をすることができませんが、このような遺産分割協議がまとまらない状況では、すみやかに相続登記をすることはできません。つまり、相続登記がきちんと終わっていない状態だと、買主が見つかっても現実的に売ることさえできなくなるのです。

 このような事態になるのを避けるためにも、相続登記は、できるときに早めに行うのが良いでしょう。なお、相続登記でお困りの際には、ぜひお近くの司法書士までお問い合わせください。

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父親が亡くなったのですが、明らかに財産よりも借金の方が多いようです。借金は相続したくありませんが、どのような手続きをすればよいでしょうか?

 相続人は不動産、現金、株式などの資産だけでなく、借金も相続することになります。そのため、債務の額によっては相続放棄を検討した方がよいでしょう。

 相続放棄の手続きは、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。なお、3ヶ月では判断ができないような場合には、この期間を延長するよう、家庭裁判所に申し立てることもできます。

 相続放棄が認められれば、最初から相続人ではなかったものとみなされますので、財産を受け継ぐことは当然できなくなりますが、債務も受け継ぐことはなくなります。

 なお、借金を特定の相続人が相続する遺産分割協議を行っても、そのことを債権者に主張することはできません。したがって、遺産分割協議書の中で「私は財産も借金も一切相続しません」と書いて印鑑を押しても、ここでいう「相続放棄」にはならないことに注意が必要です。

 司法書士は、この相続放棄の申立書や、相続放棄の期間伸長の申立書を作成する業務も行っておりますので、手続きがよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。

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相続放棄をする際、何か注意すべきことはありますか?

 相続放棄をする際に注意しなければならないのは、以下の点です。

・被相続人名義の預金を解約したり、財産を処分したりすると、後で借金があることが判明したときに相続放棄ができなくなります(法定単純承認事由)。

・相続人のうちの一人が相続放棄をすると、他の相続人の相続割合が増えます。例えば、相続人が被相続人の長男と二男のみで、そのままだと兄弟で債務を半分ずつ相続するところ、長男だけが相続放棄をすると、二男が債務をすべて相続することになります。

・先順位の相続人全員が相続放棄をすると、後順位の者が相続人となります。例えば、被相続人(配偶者はすでに死亡)の子供全員が相続放棄をすると、相続人は被相続人の直系尊属(父母や祖父母)になりますが、直系尊属もすでに死亡している場合には、相続人は被相続人の兄弟姉妹となります。つまり、被相続人の兄弟姉妹(先に死亡している場合は甥や姪)も、借金を相続する可能性があることになります。

・相続放棄は被相続人の死亡後に行います。「将来、父が死亡したら相続放棄する」というような約束は無効です。

・住宅ローンや消費者金融からの借金などは、契約内容によっては契約者の死亡により生命保険金で借金が返済される扱いとなる場合もあります。また、消費者金融からの借金は、契約の期間や利率によっては「過払金」といって、逆にお金を取り戻すことができる可能性があります。相続放棄は、いちど行うとやり直しは原則としてできませんので、借金の有無などは慎重に判断する必要があります。

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父親が亡くなったのですが、財産と借金のどちらが多いのか不明です。どのような手続きをすればよいでしょうか?

 被相続人にプラスの財産とマイナスの財産(借金など)の両方がある場合、相続人は財産と借金の両方を相続する(単純承認)か、両方とも相続しない(相続放棄)かの選択を迫られることになります。しかし、財産と借金とを比較して、どちらが多いのかはっきりしない場合や、調査してもすぐには分からない隠れた借金などがある場合には、判断が難しいこともあります。

 このような場合には、民法の「限定承認(げんていしょうにん)」という制度を利用する方法があります。限定承認とは、相続人が遺産を相続するときに、相続財産を責任の限度として相続することです。つまり、被相続人に借金がある場合は、まず相続財産で借金を返済して、それで「お釣り」が出れば相続し、「足りない」場合にはそれ以上は返済する必要はない(相続人が自腹で返済しなくていい)ということです。

 限定承認の申述は、相続放棄と同じく、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。なお、相続人が数人あるときは、全員が共同して手続きを行う必要があります。

 このように、限定承認は一見便利な制度に見えますが、実は手続きが相続放棄と比べてかなり煩雑で、かつ限定承認をした人にさまざまな義務と事務処理を強いることになるため、現在あまり利用されていません。そのため、ご質問のようなケースでは、いったん相続放棄の申述期間を延長する申し立てをして、その間に相続財産と借金の調査をして、単純承認するか相続放棄をするかを選択することが多いと思われます。

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相続の権利を失う場合があると聞きました。どういう場合でしょうか。

 一般的に知られているのは、被相続人に負債が多いなどの理由で相続を受けたくない相続人が行う「相続放棄」ですが、相続人の意思とは関係なく相続人になれない場合があります。それは「相続欠格(そうぞくけっかく)」と「廃除(はいじょ)」です。

 相続欠格は、故意に被相続人または先順位もしくは同順位の相続人を死亡させ、または死亡させようとしたために刑に処せられた者、詐欺又は強迫によって遺言をさせたり、遺言を変更させたりした者、遺言書を偽造、変造したり破棄、隠匿した者などは相続人になることができないという制度です。つまり自分の遺産の取り分が有利になるように卑怯な手段を使った者には相続する権利を与えないということです。

 廃除は、推定相続人(被相続人が死亡した時に相続人となる者)が被相続人に対して虐待をしたり、重大な侮辱を加えたりしたとき又は推定相続人に著しい非行があったときに、被相続人が推定相続人の相続権を奪うことができる制度です。

 廃除は、生前に家庭裁判所で廃除調停の申立てをすることで行いますが、遺言でも行うことができます。遺言で行う場合でも遺言執行者(いごんしっこうしゃ=遺言内容を実現するため必要な行為を行う代理人)が家庭裁判所に廃除調停の申立て手続をする必要があります。また、廃除できるかどうかは、家庭裁判所が事情を客観的に判断しますので、被相続人が廃除したいと言っても必ず廃除されるというわけではありません。なお、廃除できるのは遺留分を有する相続人(兄弟姉妹以外)に限られます。

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遺言書は、どのような場合に必要でしょうか?

 ご自身がお亡くなりになった後、相続人の方々が遺産の分配などで迷ったり、争ったりすることが無いよう遺言書を作成し、ご自身の意思をしっかりと残しておくことは重要なことです。例えば、以下のような場合には、遺言書をきちんと作成しておくと、あなたが亡くなった後、相続人の間であなたの遺志が明確になり、遺産の分け方についての争いを防止することができるでしょう。

 また、仮に相続人同士の仲が良く、遺産で争う心配がないような場合でも、相続人の人数が多い場合や、相続人に未成年者、行方不明の方、認知症の方が含まれる場合、不動産の相続登記や預貯金の解約手続きで相続人に苦労をかけないためにも、遺言を作成することをおすすめいたします。

(遺言書の必要度チェック)
 □夫婦の間に子がいない
 □現在の妻とは再婚で、先妻との間に子がいる
 □相続人の人数が多い
 □相続人になる人が誰もいない
 □相続人の中に未成年者、行方不明の方、認知症の方がいる
 □相続人でない人に財産を譲りたい
 □内縁の配偶者(戸籍上の夫婦ではないが、夫婦のように暮らしている人)がいる
 □家業を継ぐ相続人に事業用の財産を相続させたい
 □介護で頑張ってくれた子供に、財産を多めに遺したい
 □障碍を持った子に、財産を多めに遺したい
 □遺産を世の中の役に立つように寄付したい
 □相続人は複数いるのに、価値のありそうな遺産が自宅のみである
 □自宅が子(長男など)との共有名義である
 □自宅に子(長男など)の夫婦と同居している

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遺言書を作りたいのですが、どのような方式があるのでしょうか。

 遺言は、民法に定める方式に従ったものでなければ、法律上の効力はありません。遺言は、遺言をした人がお亡くなりになってから初めて効力が出てくるものですので、もし誰かが遺言の内容に手を加えていたとしても、書いた本人にその内容を確認することができません。そこで、偽造や変造を防ぎ、遺言者の真意を守るため、遺言の方式は法律で厳格に定められているのです。

 通常の遺言の方式には、自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)、公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)、秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)の3つがありますが、よく利用される方式は自筆証書遺言と公正証書遺言です。それぞれの詳細は別のQ&Aに解説がございますので、そちらをご参照ください。

 ただし、遺言は2人以上の者が同一の証書ですることはできません。したがって、夫婦が同一の証書に連名で遺言する共同遺言は無効とされます。

 なお、遺言は、いつでも遺言の方式にしたがって、その遺言の全部または一部を撤回することができます。つまり、本人が亡くなるまでは、何度でも作り直すことができます。

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自分で遺言書を作りたいのですが、どのようなところに注意すればよいでしょうか?

 遺言者本人が、遺言の本文、日付、氏名をすべて自筆で記載し、押印して作成する遺言を自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)といいます。自筆と名のつくとおり、代筆やパソコンで作成したものは無効です。筆記用具や用紙には法律上の定めはありませんが、鉛筆や破れやすい紙は避けた方がよいでしょう。

 日付は遺言の書かれた時期を特定するため、必ず具体的な年月日すべてを書いてください。「平成24年10月吉日」というように、具体的な日付が特定されないものは無効となります。

 署名と押印も絶対に必要です。押印は法律や判例上は実印ではなく、普通の印鑑や拇印でも有効であるとされていますが、後日の証拠という点では実印が好ましいでしょう。

 また、遺言内容が明確にわかるように書いておくことも重要です。長男に自宅の土地建物をあげたくても、「自宅の土地建物は長男にまかせた」では、あまりにも言葉足らずです。「金沢市○町×番□の土地とその土地にある家屋番号○○の建物は長男△△に相続させる。」というふうに、不動産であれば登記事項証明書、預貯金であれば通帳を見ながら、誰に何を相続させるかは明確かつ具体的に記載する必要があります。

 なお、書き間違えた場合、訂正についても厳格なルールがありますので、できるだけ間違えないように書くか、間違えたら最初から書き直した方が無難です。うまく書けるかどうか不安を感じましたら、お近くの司法書士にご相談ください。

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公正証書遺言について説明してください。自筆で作る遺言と、どのような違いがありますか?

 公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)は、遺言者が公証人役場に出向き、証人2人以上の立ち会いのもとで、公証人に遺言の趣旨を伝え、公証人がその趣旨に基づいて遺言を作成し、遺言者及び証人に内容が正確なことを確認した上で、各自が署名押印して作成する遺言です。なお、遺言者が公証人役場へ行けない場合は、公証人に病院や自宅に出張してもらうこともできます。

 公証人と証人の前で本人の意思に基づいて作成されるので、遺言者の真意に基づいた遺言であるかどうかについて後日争われにくいこと、公証人が法律的な知識や経験をもって作成してくれるので、内容について不備が起きる心配がないこと、原本が公証人役場に保管されることにより、遺言書を紛失しても再交付が可能であり、偽造や変造がされるおそれがないことなど、多くのメリットがあります。また、公正証書遺言は家庭裁判所での検認手続が不要のため、遺言者の死後、速やかに相続した土地建物の相続登記などができます。

 デメリットは、公証人に支払う費用がかかることと、証人に遺言の内容を知られてしまうということですが、財産を遺言者の意思に基づいて確実に承継させるという点では、公正証書遺言が最も安心できる遺言の方式といえるでしょう。

 なお、遺言の作成についてのご相談は、お近くの司法書士にご相談ください。

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公正証書遺言を作成する場合、費用はいくらぐらいかかりますか?

 公正証書遺言は公証人が作成するため、作成手数料は「公証人手数料令」という政令に基づき、遺言により相続させ又は遺贈する財産の価額を目的価額として計算されます。詳細は日本公証人連合会のホームページをご覧ください。

 このほかに、戸籍謄本や住民票の交付費用、財産に不動産が含まれる場合には登記事項証明書などの交付費用が必要です。また、遺言の内容等について司法書士に相談する場合は、相談料の支払いが別途必要となります。

 司法書士の報酬額については、現在は、各司法書士が自由に定めることになっています。ただし、自由といっても、司法書士の報酬額は、その算定方法や諸費用を明示し、依頼者との合意によって決定することになっています。

 なお、全国の司法書士に対して行った報酬に関するアンケートの結果が下記のページに記載されていますので、参考までにご覧ください。

日本司法書士会連合会( ホーム > 司法書士とは > 司法書士の報酬 )
http://www.shiho-shoshi.or.jp/consulting/remuneration.html

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遺言をしても効果がないことがあると聞いたことがありますが、どういうことなのでしょうか?

 遺言をすることによって法律上の効力を生ずる事柄は、民法やその他の法律にきちんと定められています。それ以外の事を遺言してもまったくかまわないのですが、残念ながら法律上の効果や強制力を生じることはありません。

 遺言をして法律上の効果がある事項は次の通りとなります。
 ①相続に関する事項(遺産分割の方法や相続分の指定など)
 ②相続以外の遺産の処分に関する事項(死後に行う贈与(遺贈といいます)など)
 ③身分上の事項(婚姻外の子供の認知など)
 ④その他の事項(遺言執行者の指定や祖先の祭祀を主催する者の指定など)

 「兄弟仲良く」や「自分の葬式は○○でやって欲しい」、あるいは「元気に生きていくように」「今までありがとう」というような内容は、「附言事項」といって遺言に記載することはできますが、法律上の効果を持つものではありません。しかし、遺族への最後の言葉として遺言書に記載することは何ら問題ないですし、むしろその言葉が遺族にとって何よりも大切なものになるでしょう。また、遺産の分配についての理由や親の想いを記載することで、相続争いを未然に防ぐ効果もあります。

 ただし、自筆証書遺言の場合は、訂正方法も厳格に定められていますので、文章が長くなればなるほど作りづらくなる面もあります。したがって、あまりにも長くなりそうな場合には、このような内容は遺言とは別に手紙でしたためるのも一つの方法です。

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未成年者や認知症のお年寄りの方、障碍者の方は、遺言書を作ることができますか?

 遺言は未成年者であっても満15歳以上なら可能です。認知症のお年寄りの場合でも、意思能力(判断能力)がある状態の時であれば遺言をすることができます。ただし、成年被後見人(せいねんひこうけんにん)については、医師2人以上の立ち会いの下で正常な判断力回復が確認された場合にのみ、遺言をすることができます。

 なお、遺言は代理には親しまない行為ですので、親権者や成年後見人が、本人の代わりに遺言を作成したり、本人がした遺言を取り消したりすることはできません。

 障碍者の場合ですが、まず視覚障碍者の場合、自筆証書遺言を作成することは実際問題として難しい可能性がありますが、公正証書遺言であれば作成することができます。なお、作成の際、遺言者が署名をすることができない場合は、公証人がその事由を付記して署名に代えることができます。

 次に、聴覚障碍者の場合ですが、意思能力があれば自筆証書遺言は作成できます。公正証書遺言であっても、手話通訳や自ら公証人の筆記を閲覧することにより、遺言書を作成できます。

 最後に言語障碍者の場合ですが、同様に意思能力があれば自筆証書遺言は作成できます。公正証書遺言であっても、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝える代わりに、通訳人の通訳による申述または自書でもよくなりましたので、遺言書を作成できます。

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亡くなった父の遺言が見つかりました。どうしたらいいのでしょうか?

 自筆証書遺言が封筒などに入っていて封印されている場合、もしくは秘密証書遺言の場合は、勝手に開封せず、封印されたままの状態で家庭裁判所へ提出して、相続人又はその代理人の立ち会いの下で開封しなくてはならないことになっています。また、これらの遺言がすでに開封されていた場合にも同様で、この手続きを「検認」といいます。

 ただし、家庭裁判所で行う検認手続きは、その遺言書が法律的に有効かどうかを判断するものではありません。遺言書が後日偽造されたり変造されたりすることのないよう、当初の状態を家庭裁判所が記録し、検認調書を作るという手続きです。この検認手続きを怠ると法律上5万円以下の過料の制裁があります。

 不動産を遺言書の内容に基づいて相続する場合、その不動産の名義変更(相続登記)には遺言書を添付する必要がありますが、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には、あらかじめ検認をしておく必要があります。ただし、公正証書遺言については、この検認手続きは必要ありません。

 なお、司法書士は、この検認手続きの申立書類を作成する業務も行っておりますので、手続きがよくわからない方は、お近くの司法書士にご相談ください。

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父が死亡しました。相続人は母と長男Aと二男B(私)です。父の遺言は「すべての遺産を長男Aが相続する」という内容でした。私は全く遺産をもらえないのでしょうか。

 いいえ、そんなことはありません。相続人(兄弟姉妹以外)のために、法律で一定割合の相続分が「遺留分(いりゅうぶん)」として保障されています。遺言によって、この遺留分より少ない相続分しか与えられなかった相続人は、「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」をすることにより、遺留分を侵害している部分の遺言の効果を覆すことができます。遺留分の割合は、相続人(遺留分権利者)の構成により以下のように異なります。
 ・直系尊属のみが相続人の場合:被相続人の財産の1/3
 ・それ以外の場合:全体で被相続人の財産の1/2

 遺留分減殺請求権は、相続の開始および減殺すべき贈与・遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅します。また相続開始の時から10年を経過したときも時効によって消滅します。遺留分減殺請求は遺留分を侵害している相続人・受遺者・受贈者に対して減殺請求の意思表示をすることで効力が生じますが、意思表示をしたことを証明するために内容証明郵便による方法で行うことが多いです。

 なお遺留分減殺の順序は、遺贈から贈与へと減殺し、贈与については後の贈与から前の贈与へ順次行っていくことになります。また、遺留分を計算するときの相続財産の額は、
1.相続開始時にある相続財産
2.相続開始前1年以内にした相続人以外への贈与した財産。
(ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与について期間制限はありません)
3.相続人へ贈与したすべての財産
 となります。
 これらの合計額から被相続人の債務を差し引いた額が遺留分の基礎となる財産になります。そして、この財産に各相続人の遺留分を乗じたものが、その人の遺留分の額となります。

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遺留分を放棄することはできますか。

 できます。しかし、相続開始前ならば、家庭裁判所で「遺留分放棄の許可審判」の申立てを行い、許可の審判をうける必要があります。これは、遺留分の放棄者が十分に遺留分の放棄の意味について理解していない場合や、放棄者の意思に反して行われていることがありうるため、このような手続きを取ることになっています。また審判では放棄者の意思のほかに、遺留分を放棄することに合理的な理由があるかという点についても判断されるようです。

 相続開始後ならば、すでに遺留分を請求する権利が生じていますので、自由に放棄できます。放棄の方法は、遺留分減殺請求権者に対して遺留分を放棄する内容の書面を送付するだけでできますが、意思表示をしたことを証明するために内容証明郵便による方法で行うことが多いです。

 なお、遺留分の放棄と相続放棄は、まったく別の手続きです。相続人が、被相続人の財産(借金も含む)をまったく相続しない場合には、遺留分の放棄ではなく相続放棄を行うことになります。相続放棄の手続きは、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。なお、相続放棄についての詳細は別のQ&Aに記載がありますので、そちらをご参照ください。

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遺留分とはなんですか?

 相続人に対して留保された相続財産の割合をいいます。ただし、被相続人の兄弟姉妹には認められていません。

 民法の規定により、原則として、被相続人は相続財産である自分の財産を自由に処分することができます。しかし、相続には、相続人の生活を保障する意味がある点、相続財産には相続人の隠れた持分としての権利が含まれていることも多いことから、一定の割合については、遺留分として相続財産に対する権利が認められるというもので、遺留分は本来の法定相続分の半分とされています。

 具体的な例としては、配偶者と子2人が相続人である場合の1人の子の法定相続分は4分の1です。しかし、被相続人がもう一方の子に全てを相続させる内容の遺言を残していた場合、相続分を指定されていない子は、遺言がなければ相続することができた4分の1の半分、つまり8分の1を遺留分として請求できることになります。

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